心を鍛える

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バッターはなぜ豪速球を打てるか

野球で考えてみると、ピッチャーが150キロ以上のボールを投げると、ホームベースに到達するまでの時間は単純計算で0.45秒を切るそうです。一方でプ ロのバッターがスイングにかかる時間はおよそ0.2秒、また、脳が体に命令を下してから実際に体が動くまでの神経反応は0.3秒といわれています。つま り、脳がボールを見て「打て」と体に命令してから実際にスイングが完了するまでに0.5秒かかってしまい、150キロを超える球は打てないことになりま す。では、なぜバッターがそのボールを打つことができるのか。それは、打つイメージを自分の中で作り上げ記憶する「イメージ記憶」を使うことによって運動 が行われているのです。

バドミントンでも同じようなことがいえると思います。相手のスマッシュやドライブが速い場合、実際に見てから反応していては間に合わないことが多々ありま す。こういうときには、成功したという過去のイメージ記憶を呼び出し、潜在意識下で体に反応させることでうまくいくということになります。
つまり、練習の段階での成功体験をどれだけ多くイメージ記憶するかによって、プレーの良し悪しが決まるということです。イメージ記憶はその瞬間だけに働くものではなく、ラリーの展開も記憶されることがあります。つまり、「そこに打つとかなり高い確率でここに返ってくる」というような場合ですですね。

イメージ記憶の鍛え方

では、どうすればイメージ記憶力を鍛えることができるのか。それは「心」を使うことです。「心」とは何かを思ったり、感じたりすることですが、ただ単に情 報を記憶するのではなく、その時に感情をも組み入れて記憶するとより多くのイメージ記憶が残ります。その方法とは。

1.人の話は興味を持って感動して聞くようにする。
2.内容を好きになる
3.短時間で集中して覚える
4.内容を自分の得意分野と関連付ける
5.声に出す
6.内容について自分で考え勉強する
7.内容を目を閉じて声に出してみる

脳を疲れさせては意味がない

日本では、よくコーチに怒鳴られながら「辛抱」、「我慢」などという言葉の元に猛練習に励むことがあります。しかし、イメージ記憶を高めるためには、気持ちを込めた練習を習慣化し、意欲と集中力を高め、感動や楽しむ心を大切にしなければなりません。怒られる状態が続くと、人は脳を守るため、話を聞かなくなり、集中力も衰え、自分で創意工夫して解決していく力も養われなくなります。指導者は、結果を出したいがために怒るのではなく、失敗した理由を丁寧に教え、具体的な解決方法を明らかにして練習させることが大切なのですね。

「心技体」

「心」:
目的は「勝つこと」でも、そこに拘ってしまっては緊張したり、失敗を恐れたりし実力を出すことができません。日本人の性格から「勝つ」ために、「勝ち方、 勝つために求められる技や作戦」という目標に向って全力を注ぐことがかえって勝利に近づくことができます。北京オリンピックではオグシオペアが準々決勝で 中国ペアに圧倒され負けてしまいました。もしかすると、マスメディア等の過熱で結果を求められるあまり、普段の練習で笑い声や冗談などを言い合うことが少 なくなり、バドミントンを楽しむことができなくなっていたのかもしれません。楽しむことができないとプラス感情から来る良いイメージ記憶は増やせません。

「技」:
「なんだかうまくいきそうだ」という空間認知能力を鍛えることが大切です。この能力は微妙な動きにも関わる前述の「イメージ記憶」を鍛えることで、同時に運動神経の力まで高めることができるのです。

1.性格を明るくしてプラス思考をする
2.やる気をもって行動する
3.さまざまな行動に気持ちを込める(運動以外にも)
4.何に対しても勉強する向上心を持つ
5.感動や悔しさの感情を大切にする
6.決断と実行を早くする

「体」:
筋力的にはやはりトレーニングが重要ですが、それらをうまく使う「バランス」「姿勢」が大切です。運動バランスのよい姿勢をとると、力学的に無駄の少ない 運動ができると同時に、心拍が安定し、疲れにくくなります。また、脳の疲労も軽減し、試合中に集中力を維持できるようになります。
よい姿勢とは、この場合「どんな姿勢からでも真上に飛び上がることができる」ことを言います。

思考の習慣からプラス思考に持っていく方法だけでなく、脳の仕組みを理解してイメージ記憶を高め、駆使する具体的な方法が今回理解できました。「誠実に生 きる」ことは自分の能力(脳力)を発揮させる強力な手段であるということですね。

参考文献:<勝負脳の鍛え方> 林 成之著 講談社現代新書

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