ふと立ち寄った古本屋で見つけた「とらわれない-苦しみと迷いから救われる『維摩経』」 釈徹宗著という本を読み終え、さらにネットで「維摩経」をキーワードに本を探していたところ、「修身教授録」森信三著という本に行き当たりました。今まで知らなかったことが恥ずかしいくらい有名な先生の著書で、2年にわたる師範学校での授業内容が生徒たちの記録から掘り起こされてまとめられたものです。

読んでいると、この先生の授業を受けている雰囲気になり、教員としての自覚を持ち、背筋をしゃんと伸ば(さねばならなくなる)したくなる内容です。
「人生二度なし」という真理から日々の生き方の姿勢が説かれています。
なかでも、長所短所の問題では、次のように解かれていました。
「知識とか技能とかいうような、いわば外面的な事柄については、一般的には短所を補うよりも、むしろ長所を伸ばす方が、よくはないかと考えるのです。ところがこれに反して、自分の性格というような、内面的な(精神上の)問題になりますと、長所を伸ばそうとするよりも、むしろまず欠点の矯正をすることから始めるのが、よくないかと考えるのです。」
もちろんできないこと(知識や技能)は最低限まで補うことが大切ですが、内面的な問題は長所が行き過ぎると逆に短所にも成りうることがあるからだと書かれていました。まさにその通りだと感じました。
そのほかには、
「人間は自ら気付き、自ら克服した事柄のみが、自己を形づくる支柱となるのです。単に受身的に聞いたことは、壁土ほどの価値もありません。」
「読書は心の食物。一日読まざれば一日衰える。人間生活は読書がその半ばを占め、他の半分はその実践に費やすことが望ましい。」
など、色々と書かれてありました。人生の教科書はまだまだ数が計り知れません。