「荒しこ」「中しこ」「上しこ」
「山岡鉄舟 剣禅話」より大工の鉋(かんな)の話がありました。鉋の仕事には「荒しこ」「中しこ」「上しこ」という使う段階があるといいます。
「荒しこ」…体全体の力を込め、力を抜かずに十分に荒削りをする 「中しこ」…ただ全身の力を入れればいいというものではなく自然の手加減をすることが大切である。しかし、荒しこの気分をすっかりなくしてしまってはならない。 「上しこ」…1本の柱であれば上から下まで一回の鉋で削らなければならない。心が落ち着いていなければ「むら」が出てしまう。 ここでは「心技体」ではなく「心体業」という言葉を使って表現されていました。このうちのどれがかけてもうまく仕上げることができず、人間が削ると思えば鉋が引っかかり、鉋が削ると思えば柱が離れてしまうということです。 柱をうまく削るには、最初の「荒しこ」をしっかりと練習すれば後の中しこ、上しこもうまくいくようになると言われていました。 道具を使うバドミントンにおいても当てはまるところが非常に多いと感じました。しっかりと体を使って練習し、ラケットと体のバランスをうまく感じていくことがシャトルをうまくコントロールするために必要であると思います。そのための「心体業」。このバランスを磨くために日々の鍛錬があるのだと思います。 参考文献:「山岡鉄舟 剣禅話」 高野 澄編訳 タチバナ教養文庫 |
全日本シニア
全日本シニアが終わりました。直前のリハビリで肘のサポーターに関する情報をいただき、早速購入してプレーしてみると肘の橈骨側の痛みが半減し、リストスタンドができるようになったことでシャトルへの反応が速くなる事がわかりました。握力がまだ回復していない中でどうプレーすればいいかと悩んでいたので、心の中では「試合に間に合ったか・・・」と少し感動するものがありました。
2回戦は競った展開で、なんとか勝利し、続く3回戦はうまく突破できたのですが、4回戦のラリーが始まると、今までと違った感覚が右腕に入ってきました。フォアハンド側や上のショットに対して「肘が使えていない、手打ちになっている」、バックハンド前の球に対して「リストスタンドができていないためコントロールできていない」など、痛みはあまり無かったのですが、「もしかすると前腕の筋力が限界に来ている?」と感じるようになりました。結果は0−2で負け。 まだまだ、筋力は回復できていなかったようです。だるさを感じることも無く、ただ力が入らないという麻痺した状態になっていました。試合後はやはり指先が痙攣を起こしていました。 手術後8ヶ月。今回のシニアは出場さえも半分あきらめていたのですが、やれるだけの結果が出たように感じます。しばらく休めて、またこつこつとはじめて行きたいと思います。 |
妄想なのか…
練習ではいろいろなショットを打ち分けることができるのに、試合になると自分の打った球種の少なさに驚かされます。どういう原因で相手の逆を狙うなどの発想が実行できないのでしょうか。ラリー間には「簡単に上げない」「弱い球も使う」などと考えていますが、やはり「ミス」を恐れての選択なのでしょうか。
逆に考えてみると、相手のショットも意外と球種は少ないのかもしれません。世界トップレベルで戦ってきた人は相手のショットを本当にうまく先読みします。その判断には迷いがありません。一度見たショットは次は確実に狙っているようです。 私はまだまだ自分のショットに自信がありません。自分の打つショットにすぐよからぬ批評をしてしまいます。ラリー中に動きが止まってしまうのもそのせいなのでしょう。それに囚われ本来の自分を見失い、相手さえも見失ってしまっています。そのような状態の中で相手から良いショットが来ると、それに対応できなかった場合、その後も対応できない自分の姿がイメージされてしまいます。さらに、打たれてもいないのに、そこから「打ち込まれるかもしれない良いショット」までもイメージしてしまいます。「待ち」が広がりすぎるため構えが硬くなってしまっています。 “自分にできるはずのことを達成する勇気を、我に与えたまえ。” “達成できなかったことを受容する忍耐力を、我に与えたまえ。” “そして、この二つの違いを知る英知を我に与えたまえ。” この言葉を思い出しました。 |
良いサイト発見!
知っておられる方もいると思いますが、マレーシアの「ヌサ・マハスリ」プロバドミントンクラブのホームページ(日本語)を見る機会がありました。書かれてあることを一つ一つ読んでいくと、まだまだ私の中にあった固定観念の多さに驚かされました。
実戦にかなった練習方法が書かれており、抜粋してみると以下のようなものでした。 ○ノックは10本程度を全力で10セットほど行う。3〜5分の連続フットワーク練習などは意味がない。それならランニングをしているほうがましである。 長い時間のフットワーク練習はただの根性練習ですね。 ○ノックは息が上がってから5本頑張る。 20本、30本と最初から決めているところが実戦的でないということですね。 ○パターン練習は取れる範囲につなげるようにする。ノータッチさせては意味がない。 触ってつなげさせるところに意味があるのですね。当たり前ですが・・・。 ○構えているときのグリップは強く握っていることが多い。 これ、意外でした。今後試してみたいと思います。 皆さんもぜひ一読してみてください! 「ヌサ・マハスリ」プロバドミントンクラブ http://nusa-mahsuri.com/nusa.htm |
悩むのか、開き直るのか・・・
ゲーム練習や練習試合が続きます。うまくいかずに悩んでいる生徒もいます。手っ取り早く勝ち方を質問してくる場合もあります。「勝つ」ことで自信がつくと思い込んでいるんでしょう。それが一時的な麻薬だとは知らずに・・・。
うまくいかないときは、自分のショットが信じられません。打った後に羽を目で追い、その間、うまくいったかどうかをじっと見守っています。うまくいってもいかなくても次の相手からの返球に対する準備はできていません。ラリーのやり取りを自分自身で余計に難しくしてしまいます。 中に、自分の本来のプレーに気付く生徒もいます。結果は競り合っていたりしていても顔は晴れ晴れとしています。手ごたえを感じているのでしょう。 「悩むな」「拘るな」とアドバイスする時もあります。「原因がはっきりするまで細かく分析しなさい」とアドバイスする時もあります。しかし、試行錯誤してあきらめずに最後までやり通し、成功すると必ず次への強力な動機付けとなります。それを、じれったいですが見守っていきたいと思っています。 |