心を静める
学年末の定期考査が始まりました。知識だけで評価されるということに少し疑問を感じますが、何事にも前向きに向かい合って欲しいと思います。やる気や集中力などは評価できないものですから。
さて、今日は本を紹介したいと思います。心身統一合氣道会 会長 藤平信一氏著「心を静める」(幻冬舎)です。 ![]() 以前にも紹介しましたが、「学び」には大きくわけて「知識を得る学び」と「身につける学び」があります。バドミントンではやはり多くが身につける学びだと思います。身につける学びには「教わる」姿勢ではなく「求める」姿勢が大切ですと紹介しました。 また、この本には「心身一如」という言葉が紹介されています。心と体が一つになっている状態を指しますが、心と体が分かれている「心身分離」では同じことをしても身に付かないといわれています。つまり、やりたくないと思いながら練習するなどですね。 教室ではたまに進路の話になります。部活動で進学する可能性がある生徒は「大学に進んだらまた4年間もしないといけないのか・・・。」とぼやいています。辛そうなのでついつい口を挟みますが、「やりたくないことをなぜ続けるの?」と聞くと黙ってしまいます。もはや、自分の一存ではやめる決断ができないのかもしれません。もちろん続けることは大切です。しかし、不満を持ちながらの継続は人生を無駄に費やしてしまうようでかわいそうに感じます。 「心身一如」については実践方法が詳しく書かれています。 また、学ぶ姿勢について主な5項目が挙げられていました。 1.伸びる子は先生の顔を見て心を向けている。伸びない子はよそ見したり視線が下がったりしている。 2.伸びる子は自分が受けるアドバイスだけでなく他人が受けるアドバイスもよく見ている。伸びない子は他人へのアドバイスは自分に関係ないと思っている。 3.伸びる子は出来ないことやわからないことをとことん稽古する。伸びない子は放置する。 4.伸びる子はよく質問する。伸びない子は自分が正しいと信じ込んでいるようで質問をしない。 5.伸びる子は模範をよく真似する。伸びない子は自己流で真似をしようとしない。 学校は学び方を教えるところだと思っています。強制はしませんが、生徒に心を向けて観察し、コミュニケーションを深めることから始められると考えています。 |
脳にプラス思考を
2年生が修学旅行のため、1年生のみの練習となっています。ちょっとしたリラックスからかコート内で集中する姿が見られます。普段はやはり、上級生に気を使う事が多いのだと思います。ストレスがないと成長は望めませんが、大きなストレスの対して脳は逃避する傾向があります。
「怒られる」のも一つで、繰り返されると聞き入れなくなります。怒っている方は聞いていない事がわかるので、よけいに口調を強めてしまう悪循環に陥ります。お互いに苦しみの中にどっぷりと浸かってしまう訳です。 試合においてもプレッシャーから強いストレスを感じると脳は逃避してしまう事があります。集中できなかったり、余計な思考が頭の中をぐるぐる回ったりと。そういうときは実際に上がっている脳温度を下げたり、マイナス要素のない会話をする事で回復できる事があります。 また、「ここは大事なところ、もっと集中して!」と言葉で言っても考えても具体的な方法は見えてきません。大切な事はその状況における観察力だと思います。 1.相手をよく観察する。表情、息づかい、所作など。 2.自分をよく観察する。思考の対象(プラス、マイナス)と時間(過去、現在、未来)、所作、呼吸の深さ。 3.相手の立場になって考えてみる。 4.今できる事、やろうとすることをイメージする。「できない」と考えているのはただの錯覚かもしれない。 話がいろいろな方向へ行きましたが、プラス思考がスポーツに適している事は言うまでもありません。 |
声<威嚇
「健身の羽球コラム」というサイトがあります。この方のブログに「黙れではなかろうか」というタイトルがありました。
少し引用します。 「日本選手は平気でコートの中で耳障りなかけ声や叫び声を発していた。あれは顰蹙を買っているのである。(中略)声は出せばいいというものではない。日本では声を出さないとしかられる。みな違反だということに気がつかない。外国では声を出すとしかられます。」 日本では「声を出せ」という指導者が多いのは事実でしょう。上海ジュニアのコーチも声は出させると聞いたことがあります。しかし、今の日本のジュニアの声の出し方は少し品がないように思われます。興奮してしまって声をからしている人も実際にいますから。 私が中学生だった頃は決まった時に「おっしゃ!」「よし!」、サービスの時に「一本!」「ストップ!」という声だけでした。しかし、最近では潰れる様な声で「おら〜ッッ!!」「うっっしゃあ〜ッッ!!」「いようぉっしゃぁ〜ッッ!!」(表現が難しい・・・)、サービスの時に「ぅおぉぉおお〜ッッ!!」と相手に対する「威嚇」が含まれているように感じます(恥ずかしい話、他人事ではないので情けなく思っていますが)。試合後の握手もちゃんと出来る人が少なくなってきています(指先でちょんと触るだけ)。 リー・チョンウェイ選手などのトッププレーヤーは実にクールに試合を運びます。ただ、プレーは猪突猛進にネット前の球を攻め込むなどとても熱いのですが。 一流になりたければやはり一流プレーヤーの所作をも真似しなければならないと思います。私は海外のトッププレーヤーの技術ももちろん参考にしますが、一番見ているところは表情です。特に失敗した後や成功した後のその変化を見ています。もちろん試合後はちゃんとお互いをたたえあっています。日本人はもう一度、「武士道の精神」を取り戻さなければなりません。 |
「きょういく」?「きょうはく」?
いよいよ生徒からの「クラブをこう変えていきたい」という声が聞こえてきました。今年の選手達は去年に比べると少し力が劣るところがあります。ですので正直、やらされる練習では到底本番で力が出ないと感じていました。出来るだけキャプテンに任せて、クラブがまとまるように見守ることを多くしていました。
成果はすぐに出るわけがありません。しかし、生徒達が自ら向上していこうとする力はやがて大きな影響を与えていくと思います。 「先生、こういうところを変えてもいいですか?」 「当たり前でしょ。あなた達のクラブなんだから。」 指導者は下手をすると選手を支配することで自己満足に陥ってしまう可能性があります。そういう支配欲は誰にでもあります。指導者間の会話ではそういう内容も耳にすることがあります。聞いていて気持ちのいいものではありませんよね。 もはや「教育」ではなく「脅迫」です。 「良い指導者は生徒と共に笑い、悪い指導者は生徒を笑う」 この言葉を肝に銘じて生徒に寄り添いたいと思っています。 |