今年は千葉県で行われました。近年の大会の傾向ですが、男女同会場というのが少なく、さまざまな会場に分かれるようになっています。そのため体育館の室 温や広さなど環境の差が激しいことも少なくありません。私は男子会場での試合だったのでメイン会場である野田市総合体育館、西部台千葉高校体育館、野田市 立第一中学校体育館に行きました。
環境差は未だ改善されず
団体戦緒戦は西部台千葉高校体育館でした。冷房がなければ暑いことは分かっていたのですが、体育館に入った瞬間、数年前の「岐阜インターハイでの熱中症 事故」を思い出すかのようなすさまじい暑さを感じました。体育館の中も少し薄暗く、まるでサウナのようでした。選手たちも「5分の基本練習で滝のような汗 が出ました」と話しています。団体戦ベスト4に残ったので、準決勝からはメイン会場である野田市総合体育館での試合でした。フロアに下りると「涼し い!」、思わず声が出るほど快適でした。冷房施設が多くこの時期には最適な環境であると感じました。個人戦では第一中学校体育館に行きました。天井が高い のか、さほど暑苦しさは感じず、選手たちも集中力をあまり乱さずにプレーしていたと思います。女子のほうの会場は分かりませんが、この会場の環境の差は選 手たちにとって本当に過酷なものであると感じます。室温が37度に達すると換気を行っているようでしたが、10分もすれば元の暑さに戻ってしまいます。 「岐阜インターハイでの事故」を繰り返さないためにも全会場に空調設備を設置する必要があると考えます。足元から冷やせばシャトルへの影響も少ないです し、工夫はいくらでも出来ると思います。
男子試合結果
男子団体戦では、やはり総合力に勝る埼玉栄の独壇場となり、1年生の田児選手の活躍が目立ちました。
男子個人戦ダブルスでは、アジアジュニア3位で選抜優勝の大滝・安田(大阪:柏原)、斉藤・斉藤(福井:足羽)、選抜2位の三橋・林(埼玉:埼玉栄)、 松浦・鈴木(青森:青森山田)らが有力でしたが、埼玉栄の気力と練習量が勝ったのでしょう、林・三橋組が優勝しました。サービスの工夫と速いドライブ攻 撃、相手の待ちをはずす球回しには素晴らしいものがありました。大滝・安田組は暑い苛酷な環境を勝ち上がってきましたが、準決勝は羽を上げることが多くな り押し切られた感じです。
男子個人シングルスでは、同じくアジアジュニア3位の佐伯(岡山:水島工)、去年インターハイ2位の早崎(滋賀:比叡山)、高島(北海道:札幌第一)、 上田(埼玉:埼玉栄)、松川(福井:勝山)が有力でした。佐伯、松川選手は、暑い苛酷な環境でしたが、本当にエラーが少なく、集中力を欠かさない試合展開 でした。佐伯選手は圧倒的な点差で優勝しましたが、やはり、シャトルへのコンタクト技術の正確さと、相手の足を止めるディセプションの効いた球回し、ス マッシュはそんなに強いものではありませんが、集中力を切らさないすばらしい持久力の持ち主です。かつての霜上選手(元YKK)を思い出させるものでし た。
あとがき
体育館ごとの室温差は、最初に述べましたので、ここではダブルスについて 少し意見を述べさせていただきたいと思います。近年、サービスでのフォルト(アバブ・ザ・ウエスト、アバブ・ザ・ハンド)が多く取られるうになってきてい ます。実際インドネシアで行われたアジアジュニアでは、ドライブサービス(仮名) -床とほぼ平行に打ち出す攻撃性の高いサービス- はもちろん、ロング サービスでも、かなりフォルトをとられたと大滝・安田組は話しています。世界ではもはや「ドライブサービス」というようなサービスは打てないらしいです。 しかし、今大会を見てみると、緒戦から「ドライブサービス」をかなり多く見かけます。その連続で数点連取し、ゲームを取るなんていう展開もありました。近 年、ナイロン球の廃止に伴い、技術レベルは年々上がってきており、個人戦一回戦からかなりの接戦が展開されています。ルールを遵守するという観点からも、 全国大会は副審を最初からつけるということが重要だと感じます。「副審がいないので最初は何でも出来る」というような風潮がぬぐいきれません。世界に出て 行くこれからの選手たちにとっても大切なことだと思います。