よくある心の癖

私がコーチしているチームでは選手にノートを書かせていますが、目標と内容、問題点、解決方法をそれぞれ、体力、技術、精神、生活の観点から考察 させています。しかし、中でも精神についてほとんどの人が同じ文句を並べ、解決方法がわからずに同じことを繰り返していることも少なくないのが現状です。 その中から少し例をあげて考えてみたいと思います。当てはまることがあれば参考にしてみてください。

「弱気になるな強気で行け」
誰もが一度は口にしたことのある言葉だと思います。「弱気」は逃げるような、消極的な意味なのでよく理解することができます。そこで「強気になれ」とい うことは言葉からも逆の意味にとれるのでニュアンスは良くわかるのですが、実際にどうすることなのかよくわかりません。「強気」とは何なのでしょう?思い 切り強く打つことでしょうか?後先考えずに前に速く突っ込み打ち込むことでしょうか?大声を張り上げ気合を入れることでしょうか?
実際に「強気」とはどうすることなのか選手に聞いてみました。すると「よくわからない」と返答がかえってきたのです。その時に私なりに答えたのは、「今ま でやってきた練習を思い出して実行するということじゃないの?」ということでした。「強気」とは離れているかもしれませんが、噛み砕いていうと「今まで やってきた練習を思い出して、その練習を信じて実行する」ということなのでしょう。「強気」≒「信じる」ということでなんとなく理解してもらえました。

「我慢する」こと
「我慢しろ~!」と観客席から聞こえてくるときがあります。何を「我慢する」のでしょうか。諦めそうな気持ちをでしょうか。「体力が切れて息が上がって いる状態で倒れそうなのに勝ちたいから倒れそうなのを我慢する」という状況は良くわかります。そのような状況ではまず、息の上がりを押さえないことには集 中できません。今やるべきことを冷静に判断することが大切でしょう。

「我慢すること」は、「決める!」とか「やられる!」という気持ちが出ないように我慢することだ と思います。0コンマ何秒のタイミングのずれでネットに掛からなかったり掛かったりします。相手コートのどこどこに打つイメージと、決めるという結果への イメージはやはり差があります。後者はうまくいかないことが多いです。

「ゾーン」に入れば体は勝手に動いていきます。そのためには、プラス方向に「心を開放」して、調子に乗っていくことが大切でしょうね。

取れたかもしれない
 「ゲーム中に、相手にチャンスボールを上げてしまい、”打たれる~”とあきら めて後ろを向いた瞬間、相手のショットがネットにあたって、自分のすぐ近くに落ちてきた」、また、「相手のスマッシュが遅く、目の前に来たのにミスして ネットにかけてしまった」なんて経験はないでしょうか?いずれもよく耳にするのが「今のは取れていた」という言葉です。しかし、この言葉は「後悔」を生む という意味でも、言ってはいけないのです。なぜなら「後悔」すると集中力が乱れるので100%の力が出なくなるからです。
また、いずれの例にしてもはっきりとした原因があるので「取れたかも」ではなく「その状況では取れない」のです。最初の例は、あきらめて後ろを向いた時点 でもはや取れませんし、2番目の例では、取る位置や面の角度など原因はその都度ありますが、はっきりと原因があるからミスが出るのです。ここで、次のプ レーに影響しない考え方は、「その状況を受け入れる」ということでしょう。「何でこんなところでミスするんだ」と考えるのではなく「こういう状況ではミス が出てしまい、しかも○○が違っていたんだな」と考えるのです。または、「ミスの原因はわからないがこの状況を練習で再現してみよう」と次への課題とする 考え方です。こう考えると後悔を生むこともなく次のプレーにも影響せず100%の力が発揮できるでしょう。

「流れ」
 よく「流れに乗って一気に行った」とか、「相手に流れがある」ということを耳 にすることがあります。しかし、この「流れ」とはなんでしょうか?「波が激しい、荒い選手」というのは、ゲームの中で、集中力が時々途切れる選手のことを 言いますが、結果からの気持ちのブレは多少なりともみんなあると思います。しかし、その感情に引きずられるかどうかは訓練次第で大きな差があると思いま す。それも実力のうちです。

結果への感情に執着してしまうと良くても悪くても集中力は途切れます。そうなると流れや運は相手の方へ行ってしまうものだと思います。

目には見えない大きな流れというものは存在していると思います。その流れに敏感に反応して反発せずに乗っていくというような姿勢がプレーをその人なりの最高のプレーを出させてくれるのだと思います。

集中力を乱すもの
 100%の力を発揮できなくする「集中力を乱すもの」はなんでしょうか?「勝ちたい人のために」でも書いていますが、ここでは、4つの外発的動機付けについて書きたいと思います。
外発的動機付けとは、やる気を起こす「外からの圧力」です。

  1. 環境
    誰でもコートマットで試合ができるとなればやる気が起こるものです。その上シャトルはY社のトー○メントとなるとまたかわりますよね?しかし、風が入って くる、壁でシャトルが見にくい、暑い、寒い、床が滑るなどが起こってくるとやる気は下がり、集中力は途切れます。
  2. 状況
    「相手が強いと聞いていたのでゲーム序盤はあまりやる気がなかったのに、競り合ってくると面白くなりやる気が出てくる」、「最後の学年の試合なので頑張っ たら優勝した」、などありますが、最初のほうはやはり強いと思った瞬間に集中力は切れているでしょうし、後の例もそれまではサボっていた、集中力を切らし ていたということでしょう。

  3. 怖いコーチが見ているから頑張ろう、お父さんやお母さんが来ているから頑張ろうという人もいますが、逆に萎縮して集中力を切らすこともあります。また、見にこないのでやる気が出ないという場合もありますね。
  4. 結果
    誰でも良い結果が出ているときは頑張るものですし、次の試合も頑張ろうと思うでしょう。しかし、負ければやる気が失せたりする人もいるでしょう。

いずれも、自分ではどうすることもできないことばかりです。このようなことに左右されて集中力を乱していると、なかなか100%の力を発揮することができ ませんね。ということは「勝つ」ということから遠のいてしまうかもしれません。集中力を乱さないための心の良い習慣がプレーにも大きく影響すると考えてい ます。

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