北京オリンピックに出場したルルク・ハディアント氏(インドネシア:写真下)が来日し、講習会を開いていただける機会がありました。その中でいろいろなお話を聞くことができ、少しまとめてみることにしました。
ウォーミングアップは全力で
体育館に通訳の方2人と共に小柄なルルク氏が入ってこられました。どのような形で講習会を行うか打ち合わせした後に20分くらいウォーミングアップしてい ただきました。柔軟運動と基本ストローク練習で行っていましたが、終わってみると全身に汗びっしょりの状態でした。今まで見た外国人選手のウォーミング アップはかなり適当なものが多かっただけに、「この人は少し違うな」と正直に感じました。
「ノーロブ」のダブルス練習
ルルク氏はダブルスの選手です。したがって今回はダブルスのレッスンです。
「No Robing」がテーマのこの練習。つまり、高く上げない練習です。コート奥を狙う場合は低いアタッキングロブを打ちます。自然と速いラリーの応酬になり、アタッキングロブを狙うためラケットの準備も早くしなければ間に合いません。
黄色の部分で行います。ネット前は打ってはいけません。ハーフショットを多用し速い展開に持ち込みます。 | |
全面で行いますが、ネット際を多く使うようにします。 |
Practice for Defence
コート幅などを限定した練習ですが、「Very Important!」と連呼されていました。シンプルな中に本当の難しさや大切さがあるのだと思います。
<No.1>
よくある半面での練習です。一対一で行いますが、やはり大切なことは「ミスをしないこと」「試合を想定して全力で行うこと」です。
半面で行います。 赤の方はスマッシュとドロップを25~30本打ちます。 水色の方はしっかりとディフェンスします。 |
<No.2>
これも半面での練習です。二対一で行います。前衛からも積極的に打ち込みます。
半面で行います。 赤の方はスマッシュとドロップを25~30本打ちます。 青の方はプッシュ、ネットで攻撃します。 水色の方はしっかりとディフェンスします。 |
<No.3>
攻撃側が3人になります。ディフェンスは半面を守ります。
攻撃は全面から行います。 水色の方は半面でしっかりとディフェンスします。 |
バドミントンは早く点を取る競技
「バドミントンは強く打つスポーツでも、ラリーを楽しむ スポ ーツではありません。 点数を競うスポーツです。 トーナメントで勝ちたいなら、どうすれば簡単に点数が取れるのか?を常に考えてください。 それは、体力の消耗を防ぎ、集中力を長く保つことにつながります。 それ無しでは優勝できません。」
ルルク氏からの言葉です。今まで、「ラリーをつなぐことを楽しんで」という考え方は皆さんにあると思います。私自身もそうですが。「如何に簡単に点を取る か・・・」この言葉は忘れません。バドミントンの競技性の原点に触れた感じがしました。
世界一考えること
「大学生以下の方へ。自分の道は自分で決められます。世界一になりたかったら、 世界一考え、練習してください。コートで何を考えるかが重要 です。どうせやるなら、世界チャンピオン目指して毎日頑張っ てください。」
これもルルク氏からの言葉です。目標は自分で決めるものです。イメージを強く持てば必ず行動が伴ってきます。「やらされている練習」ならやらない方がいい人生を送れるかもしれません。
トレーニング
ダブルスプレーヤーは速い動きの中でコンパクトに強く振り抜かなければなりません。年齢がくればウェイトトレーニングは必須のようです。また、スカッシュ や重いラケットで打ち込む練習も必要だと教えてくれました。逆にシングルスプレーヤーでは、ダブルスプレーヤーほどウェイトトレーニングは必要ないそうで す。
ワンポイントレッスン
●サービスの方向で前衛の待ちを決める
サービスをより多彩で攻撃的に、相手の返球に対して狙いを定めることが大切。
●ローテーションで攻める
より速く、攻撃を連続で行うにはローテーションが重要です。高校生へのノック練習でも「Move! Move! Move!」と声掛けを行っていました。足を動かすことはとても重要なのです。
●ネット際でエラーしない
如何に上げさせるかを考え、ラリーを組み立てます。その際、ネットでのエラーは致命傷になります。速い動きの中でのラケットワーク、ボディーバランスをう まく行い、エラーをしない練習をつむことが大切です。ネット前からはすべてプッシュするのではなく、クロス前に運ぶことで相手からのロブを狙うなども考え られますね。
終わりに
今回の企画してくださった通訳の小宮さんには大変感謝しております。また、私のたどたどしい英語にも何とかコミュニケーションしようという姿勢を見せてく れたルルク氏には感激しました。英会話を本気で勉強するきっかけにもなりました。写真はルルク氏を挟んでけいいちんとひろっしーです。