なぜ指導を受けるのか
バドミントン講習会を行いました。参加者の方々は熱心に取り組まれ上達も見て分かる形となりました。それぞれの方々の満足度や上達度は様々かと思いますが、そもそもなぜ上達したいのかをあらためて考える機会となりました。講習会のために時間を割き、さらに料金を支払って参加するので参加者の方々の本気度が伺えます。中には今まで一度もお手本となる指導を受けて来られなかったという方もおられ、今まで見よう見真似でやって来たことと全く違う感覚もあったと言われてました。私は中学から部活動で本格的な指導を受けてきたので、上級者の技術などを毎日目の当たりにして練習できていましたが、最近少し本腰を入れつつあるゴルフなどは指導を受けたことがありません。動画などで見よう見真似でやっていますが、やはりわからない感覚が多く出てきます。前回の「イメージとのズレ」でも書かせていただいましたが、自分の姿を客観的に見るのはなかなか難しく、できているようで実際はズレていることが多くあります。横についてもらい、これでいいのかどうかをチェックしてもらうだけでも練習の効果が違ってくると思います。できれば定期的に練習ルーティンやフォームをチェックされることは習慣化される意味でとても大切だと思っています。最近では社会人が集まってゲーム練習をしない「練習日」があります。パターン練習やノック練習を行っていますが、ここでフォームなどをチェックすれば、さらに上達が見込めると思っています。
以前受講していた速読の「楽読」では、毎回同じルーティンで進めていくので、この方法を覚えたら自宅で一人でできるよね?と最初は思いました。しかし…できないのです。いつでもできると思うとやらないのです。人間の怠惰な部分です。習慣化されるまでは時間を割いて出向き、料金を支払って、やらざるを得ない状況を作らないとできないのでした。楽読では最低3ヶ月の期間を設定してあります。それ以上でないと習慣化されにくく身につかないからです。バドミントンの指導においてもよっぽど感動して「これだ!」と思わない限り、1、2回受けただけではおそらくすぐに忘れてしまうものだと思います。そしてなんとしてでもつかんで帰るんだ!と決心するためにはある程度の料金を支払わなければなりません。これは講習内容もありますが、自分自身を無心に近づけ、スポンジのように吸収できる状態にするためです。予備知識がある程度必要な時もありますが、吸収する意味では邪魔になることがあります。以前東京で「スラムダンク勝利学」の辻秀一先生の講習会を料金をしっかりと支払って受講しました。著書は数冊読んでいたのである程度内容は把握していましたが、先生の生の言葉と雰囲気を感じ、面白く元気に話される姿を見て、会いに行ってよかったと今でも感動しています。「会いにいく」のは「知っている」ということと全く違う感覚を得ることができるのだと思いました。人見知りな私ですが、先生から「有田さん」と名前を呼ばれただけで感動したのを覚えています。
指導者の確保
東京オリンピックでは男子シングルスで桃田賢斗選手に続き、常山幹太選手が選ばれました。彼の高校生時代に監督として関わることができてとても光栄に思います。私の職場が変わっているにも関わらず出場が公式発表される前に「決まりそうです」と連絡してきてくれたことにとても感動しました。これがトッププレーヤーだなと思いました。
さて、日本バドミントンの飛躍とともに、競技人口も増えてきており、新たに始める人に対して指導する人材が必要になってきています。競技開始年齢が早まるにつれ、義務教育の部活動をどうするかが、教員の働き方改革で問題になっています。学校現場では部活動に時間を割かれる一般教員の負担軽減のために外部指導者を雇用する方向ではありますが、全く報酬が追いついていない状況です。あるオリンピアンの方が高校から指導をお願いされた時の報酬は月1万円でした。学校現場では「文武両道」という名のもと、部活動への参加を暗黙の了解で強制しているところもあるそうですが、報酬と時間確保のバランスが大きく関わっているため指導者の確保が追いつかず、教員への大きな負担は変わっていません。現場教員は保護者からのクレームを対応するとなると、教室の生徒に含めて倍増します。外部指導員への報酬はやはり教員同様、もしくはそれ以上支払われないとある程度の指導者の確保は難しいと思われます。そこまで学校や国側に本気でやる気があるのかどうかが問われています。
<具体案>
授業担当教員 7時から15時まで勤務 45分授業6限
部活指導員 13時から21時まで勤務、活動時間は4〜5時間、その他はスタッフミーティング等
生徒 7:00から12:20まで授業、13時から17時まで部活動(文系の活動も含む)。
部活指導員のみでの活動も可能。面白いと思うのですが。
指導者への報酬
熱心に話を聞いて実行する生徒を見ていると、それだけで「報酬なんて関係ない!」と頑張ろうとする指導者は多いと思います。バドミントンを好きになって続けて欲しい気持ちが強いからです。しかし逆を返せばやる気のない、話を聞かない生徒に対して、日々の習慣から修正していくのはとても時間がかかります。年齢を重ねてきた10代後半ではなおさらです。しかし勤務時間内であるにしろないにしろ専門的知識を伝えること、そうでなくてもそばにいてフィードバックを繰り返してあげることはとても重要な指導です。「ただで教えるな!」という意見があるように、本当に伝えたいならば受講者から時間やお金などの報酬をいただかなければなりません。部活動では指導者への報酬が目に見えませんし、生徒から現場で料金を徴収するのは教育上どうなの?などという声も聞こえてきそうです。極論ですが、現場で自らある程度料金を支払い、「絶対今日の指導は身につける!」と覚悟すれば指導内容は間違いなく伝わりやすいですし、競技レベルも高まるでしょう。そういうお金の流れや、出してくれる親の有り難さ、組織でどのように運用していくのかも含めて日本では教えてくれないお金のことについて知れるいい機会であるような気がします。
<なぜ上手くなりたいのか>
もっとバドミントンが楽しくなるから
格好いいから
体が強くなるから
賢くなるから
いろんな人と繋がれるから
様々な人の協力に感謝できるから
人間的に学びになり成長できるから
日常を離れた集中した環境に身を置けるから
難しいことを克服するのが楽しいから
挑戦している自分が好きだから
体が健康的で毎日に目標が持てて活き活きできるから
<どうすれば上手くなるのか>
自分に合ういい指導者に会うこと
上手くなる!と覚悟すること
自分の能力を信じること
すぐに行動すること
バドミントンについて色々な方向から考えてきました。バドミントンが競技者一人ひとりの生涯にわたって成長と豊かさ、幸せをもたらしてくれるツールとしてもっと多くの方に認識されることを切に願っています。