すり足

ヨネックスジャパンオープンのシングルス決勝(Lin Dan VS Lee Chong Wei)はとても見ごたえのある試合でした。相変わらずの安定感とスピードが連戦後の決勝でも持続させられるということにも驚きました。

 

両選手のフットワークを見ていると、ジャンプ時以外は上体の上下動が少なく、それに加え、足があまり床から浮いていないように見えました。しかも、時には歩いているようでもあり、日本古来の「すり足」を思い出しました。

「すり足」とは和の基本動作と言われ、大腰筋と内転筋(太ももの内側の筋肉)を活性化させると言われており、能、剣道、居合道、舞踊、茶道、相撲などでよく知られます。
大腰筋は、上半身と下半身をつなぐ筋肉で、太ももを上げたり、背骨を支える、よい姿勢を保つなどの機能を果たすようです。また、骨盤が地面に対して垂直な 西洋人に対して、日本人は猫背が多く骨盤が後ろに傾いているため、足を大きく上げて動くと、骨盤が上下に動き速度が落ちると言われています。ゆえに「すり 足」の方が骨盤が安定して移動しやすくなるとのことです。

「よい姿勢」が保てるようになると、動き出し時でも脊柱の軸回転運動が使いやすくなり、体の余計な力みが減り、視野が広がると考えられます。また、大腰筋 などが活性化されることもあり、前足を大きく振り出すことができるようになり、さらには前足の着地点を細かく微調整できるようにもなるとも考えられます。

中国で考えられたといわれる「シャセ」という寄せ足の動きに加えて、この「すり足」をフットワークに加えることは、ショットの安定にとても大きく効果が現れると考えられます。

「すり足」の練習方法

NHKの課外授業~ようこそ先輩~という番組では「こえよう!走りの限界」というタイトルでプロ陸上選手為末大さんの話がされていたようです。その中では、

最初に子供たちに最初に実行させたのは体育館でスリッパを履いて走るらせること。スリッパを履いたまま足を出すと、そこに自分の体が乗っていく。自分の足 の上に重心が交互に乗っていき、きれいに前に進むようになる。つまり、すり足で走ると骨盤が安定し、前に進みやすくなる。
初めはスリッパが脱げてしまい上手くいかなかった子供たちもそれを為末選手が「忍者の走り」と説明すると一気に理解し、スリッパ走りをマスター。
そのイメージが消えないうちにタイムを再測するとたった15分の練習にもかかわらず29人中15人が0.5秒以上タイムを短縮しました。「REDFOXのページ参考」

と説明されていました。

日本人が大切にしてきた古武術の動きは、もっと色々なところへ応用できるのかもしれませんね。

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