1.おだやか型
2.精神気質
3-1.朗らか型
3-1d.じっくり型
3-2.温和型
4.強気敢行型
5.地道粘り型
6.あっさり実行型
7.内的安定型
8.分裂型
8-1.むき熱中型
8-2.鈍麻型
8-3.自閉型
8-4.敏感型
8-5.停電型
9.自己顕示型
10.粘着型

 

1.おだやか型 この型は一口に言うとおだやかで素直従順なるも、気力不足で消極的になりやすいというたちである
精神健康のとき 1.社会性
人当たりもの柔らかく素直で従順といった感じ。積極的ではないが誰とでも親しみ協調性がある。
2.仕事ぶり
素速くやってのける方ではないが、慎重、細心にしてやることは確実である。ただとことん粘り抜くような点には欠けやすい。
3.ものの考え方
現実的、実際的で中庸を得ており、理論的に走りすぎたり、自説に固執したりすることなく、妥協的、折衷的で偏りを持たない。あるがままの現実の姿を認めその中に無理なくとけこもうとする態度である。
4.情意の状態
感情の表現はもの柔らかくおだやかで喜怒哀楽の情が素直に表現され、人ともよく共感し共鳴する。意志は強い方ではなくとことんまで粘ってやり抜くようながんばりはきかない方である。ただし、途中で投げ出すというような所はない。
性格上の難点 気力不足になりやすい
不健康のとき 何か不健康な条件下におかれると、この気力不足になりやすい難点が頭を上げてきて、消極的、引っ込み思案、無口、細かいことを気にする、無気力、自信喪失などの症状が現れてくる。
健康管理 この 型が精神的不安定に陥ったとき、一番大切なのは自信を持たせるようにすることである。その際に、むやみに鋭い気合いを掛けたり、大声で怒鳴りつけたり、あ るいは道理を説いてきかせたりすることはあまり効果がない。それよりも、暖かい雰囲気の中でほんわかとした気分にして嬉しがらせ、その中で手を取って引っ ぱり出すことがよい。彼らは自分からは動きたがらなくとも、素直なので、手を差しのべるとそれについて動き出す。動き出したらだんだん自発的に動くように 力づけ、自信を植え付けることである。
2.神経質型
(気づかい型)
精神健康のとき 1.社会性
人当たりも柔らかく素直で従順。人と親しみやすい所は持っているが、あれこれ細かく気遣うのあまりすすんで人と交わることを躊躇するので、交友範囲が狭くなってくる。
2.仕事ぶり
仕事に取り付く際に決断を欠きやすいのでいきおい滑り出しには手間どる。しかし、やることは、慎重、細心、緻密にして確実さはある。ただし、比較的疲れやすく、とことんまで粘り抜くと行った面には不足しやすい。
3.ものの考え方
現実的、実際的出、妥協する。自説を固執したり理屈ばったりはしない。しかし、現実的に実現しそうもないようなときは現実を遊離し空想的、夢想的になりやすい傾向をもつ。
4.情意の状態
感情の反応は敏感であり、また人の感情にも共鳴し共感するところはあるが、周囲への気遣いが細かきにすぎ、それをそのまま外に出すことを抑えてしまうので腹中にこもりやすい。従って、感情は外へ豊には現れない。
性格上の難点 細かいことを気にかけすぎる
不健康のとき この気遣いすぎる難点が高じてくると、その程度に応じていろいろな症状が現れてくる。気がね、気苦労、いらいら、悲観、ノイローゼなどがそれである。
健康管理 この 型は、なんと言っても気遣いが細かく気弱になることが健康を害するもとになるのであるから、まず、気やみをしないようにして強く、たくましくなることが肝 要である。ただし、強く激励したりむやみに尻をたたいたりしただけでは効果は上がらない。それよりも、この型は、自分の持っている実力よりも自分を低く評 価するような気弱さがあるので、何事でも自信を持ってやるように仕向けていくことが第一である。
3-1.朗らか型 この型は明るい気分が多分に回ってきて、暗い気分の回りがきわめて少ないたちのもので、よく喋り、よく動き、賑やかである。
精神健康のとき 1.社会性
誰とでも気軽につきあう。明るく元気でよく喋り、よく動いて世話好きでもある。ただし、一人一人に深くはない。広く浅い方である。
2.仕事ぶり
仕事への適応も早く、融通性もあって、次から次へといろいろな種類の仕事をてきぱきと能率的に片づけていく。従って、一つのことに深くなく、間口が広く奥行きが浅いと行った感じである。
3.ものの考え方
きわめて現実的、実際的に割り切り、理屈ばったり、形式張ったりすることがない。いろいろ考えているよりすぐに実行に移す方である。
4.情意の状態
喜怒哀楽の情をそのまま手放しに外に出す。嬉しければ手をたたいて喜ぶし、悲しければすぐ泣きもする。しかし、いつまでもくすぶっているようなことはな い。意志は実行力があると言うべきである。ただし、一つのことにいつまでも深く粘り抜くといったようなところはなく、次から次へと移っていくところに特徴 がある。
性格上の難点 意志が不定になりやすい。
不健康のとき この 型は意志が不定になりやすいところに難点をもつが、この特徴は精神健康にして知能高く、いろいろな才能があると、口八丁手八丁のやり手となり、新しい仕事 を次から次へとやりこなしていくことになるが、精神不健康にして才能がないと、意志がいたずらに浮動するだけになるので、注意散漫、飽きっぽいから始まっ て、怠け者、気分や、暴力、お調子者、でたらめ、遊び人、チンピラなどになって現れてくる。
健康管理 この 型は、意志不定になりやすいところに健康を害する源があるので、まず、その健康管理には、意志がかってにふらふらと歩き出さないようにすることである。自 分で自分を規制するブレーキが弛んでいるのであるから、端からこれを締め付けて、気まま勝手に出歩かないようにしなければならない。だから、この型には、 少しくらいは文句を言ってもかまわずに、厳然と厳しく締め付けることが必要である。また一方では、このじっとしていられないエネルギーの善用を考えてやる ことである。彼らは人なつこくて同調性があり、いきなりそっぽを向くようなこともないので話の持ちかけようによってはのってくるし、また適当におだてもき くので、そのへんをうまくつかんでやると効果が上がる。
3-1d.じっくり型 この型はいわば朗らか型の親戚である。ただ、朗らか型は明るい気分が多く回ってくるのに対して、じっくり型は暗い気分がより多く回ってくるだけの相異であって先祖は同じものなのである。
精神健康のとき 1.社会性
口数が少なくおっとりとした態度になって、人との関係を嫌うわけではないが、朗らか型のような気軽さ、開けっ放しがなくなってくる。人との関係に進んで 飛び込みもしないし、またなれるにも手間取るが、しかし、朗らか型のもつ「ぬくみ」は残っているので、人当たりは硬くなくやんわりとした感じがある。
2.仕事ぶり
朗らか型とうって変わって仕事への適応も遅ければ、また手際よくてきぱきと片付ける速さもなくなっているが、しかし、鬱因子が、意志不定で目移りする態 度や、ややもすれば強引にとばしすぎる実行力のブレーキになって、それが、速くはないが、じっくりと腰を落ち着けて、確実に、慎重に、粘り抜くといった方 向に変えさせている。
3.ものの考え方
現実的、実際的な考え方を基調にすることは変わらないが、考えてからやる、筋道を通してからやるといった態度が生まれてきている。
4.情意の状態
朗らか型のように開けっ放しではなく、感情の表現はどうしても抑えられがちになる。ただし、腹の底には人の感情に対する同調性や共感性が十分にあるのであたりは柔らかい。
性格上の難点 気の重さ
不健康のとき この気の重さが進むと、憂鬱になったり、悲観的になったり、さては神経症的に物事が苦になったりするが、もう一つ、この気分の重さと朗らか型の実行力がもつ気強さとでもいったようなものが一緒になると、片意地、偏屈、強情、頑固と言ったような特徴も生まれてくる。
健康管理 鬱気 分が多いことが病気になるもとであるから、努めて明るい気分になるように引き立てればよい。じっくり型は、人なつこさを残しているので、手を差しのべさえ すればそれについてくる。そして、ついてきたら、暖かく相談相手になってやり、励ましたりすることである。そうすれば、ずっと気分は軽くなり、自らにして 積極的に動こうとする気分になってくる。ただ、その際に一生懸命になりすぎて、急がせたり、あわてさせたり、強く押しすぎたりしないようにすることであ る。
3-2.温和型
精神健康のとき 1.社会性
気分が明るく誰とでも親しみ協調性もある。ただし朗らか型のようにはしゃぎ、おしゃべり、動きの速さはなくゆったりとした温和さ、丸さ、物柔らかさ、ぬくぬくとふっくらしたような感じがある。
2.仕事ぶり
適応性、柔軟性もあって仕事へのはまり込みはよいが、確実で慎重である。ただし、根強さ、がんばりといったものには不足しやすい。
3.ものの考え方
現実を素直に認め、それと同調し、協調してとけ込んでいく方である。理論的、形式的に物事を考え、現状を打破するような革新的なところはなく現状維持的である。
4.情意の状態
喜怒哀楽の情が表情豊かに素直に表現される。ただし、朗らか型のように開けっ放しで強くはなく、ゆったりで、なだらかで、悠長である。意志は強いとはいえない。
性格上の難点 温和すぎて、積極的な気迫に欠ける。
不健康のとき この型は、不健康になってくるとこの「気迫に欠ける」がものを言い出して、くよくよ、悲観、無気力、自信喪失、意気地なしと言ったような症状が現れてくる。
健康管理 この 型はもともとがぬくぬくしているので、温情は最もよく響く。嬉しい、ありがたいと思えば自らにして積極的に動くようになる。温和にして従順なので人の命に はよく服するし、また、適応性、柔軟性もあるので指導がよければその効果も上がる。この型の健康管理を一口に言えば、温和で素直で無難なところでよしとし ないで、もっと積極的にやるようにさせることである。
4.強気敢行型 この型は、一気にこれを成し遂げるような強力な実行力を持つが、一面強気にすぎることがさわりになると言ったようなたちである。
精神健康のとき 1.社会性
誰彼となくつきあいはするが、人の好き嫌いが割合はっきりしている。また強気なので、人の先に立ってこれを率いていくようなことを好み、ボスとか親分とかいった調子が感じられる。人当たりは、強く硬く、物柔らかい感じには乏しい。
2.仕事ぶり
考えればこれを即座に実行に移し、一挙にこれをまとめ上げるような実行力に富み、また食いついたらはなさないようなねばり強さもある。ただし、その反面強引にすぎて独断専行の傾きも出てくる。
3.ものの考え方
現実的、実際的で、形式論理的にこだわったり理論にすぎて現実を遊離するようなことはない。それのみならず、慣習やしきたりなど現実的、経験的なものを尊重し、特に義理人情的なものを基盤とする考え方は強い。
4.情意の状態
感情はあけすけで飾り気なく、激しく、強く、鋭く一挙に表現される。だだしいつまでもくすぶって長く尾を引くようなことはない。意志は強いと言うべきである。ただし、柔軟性、融通生といったものには乏しく、一気に押し上げる強さである。
性格上の難点 強気にすぎる
不健康のとき 精神不健康になると、この強気にすぎることに抑制がきかなくなるから、ただ強気だけが無法なことをしている。従って、気まま、得手勝手、偏屈、強情、乱暴、喧嘩、悪ボス、などになって現れてくる。
健康管理 この 型は、強気にすぎることが野放しになったときに健康を害することになるから、この強気をどう処理するかと言うことが健康管理の中心課題となる。この型は頭 ごなしに物事を押しつけることは禁物である。何しろ気が強いので、いきなりやられるとかっとして反発してくる。それで、それよりもよく言い聞かせて納得さ せることがよいが、それには抽象的な理論をいろいろならべてみるよりも、現実的、実際的なことに例を取って、簡明に述べることがよい。しかも、その際には 厳然たる態度で臨み、相手に頼もしいとか頼りになるとかいった印象を与えることがよい。
5.地道粘り型 この型は一口にいって、地味ではあるが手堅い黙々実行家といったとこである。
精神健康のとき 1.社会性
口数が少なく控えめで、人になれるのに手間取る。したがって交友範囲は狭くなる。ただし、一たびなじめばその交わりは深く長い。人当たりは物柔らかさに 乏しく硬い感じなので、すぐには取り付きにくい。しかし、責任を持つとか、信義を重んずるとか、自分を捨てて人のために尽くすとかいったような健気な道徳 行為には人一倍厚く、ここにあげている10類型中随一である。
2.仕事ぶり
取り付きにも手間取り、また速くもないが、確実に、手堅く、こつこつとねばり強くやって、責任の持てる仕事をする。
3.ものの考え方
現実的、実際的で、いたずらに理屈張るようなところはないが、物事に筋を通して考える方で、その時々で妥協したり、折衷したりするような安易なところは ない。だから、何事によらず十分に理を通し納得のいった上で動き出すといった調子であるので、一面融通の利かないところも出てくるが、他面手堅く信念を 持ってするということができる。
4.情意の状態
感情は表に出ないで内にこもるので表情には乏しい。むっつりとした感じで、表からはその感情の動きが察しにくい。
性格上の難点 適応遅く柔軟性に不足する。
不健康のとき 適応遅く柔軟性が不足することが高じてくると健康を害するのでその症状としては、無口、自己中心、頑固、強情、偏屈、つむじ曲がりなどが現れてくる。
健康管理 この 型は、適応遅く柔軟性に不足することがもとになって健康を害してくることになるが、しかし、適応が遅いことや柔軟性に欠けることはそれが直ちに人に迷惑を かけるような問題行動には関連を持たない。そこで、健康管理の手段として考えられることの第一は決して急がせたり、あわてさせたりしないことである。第二 にものの道理をよく説いて納得させることである。第三は消化不良になっている考え事を残しておかないように掃除をしてやることである。第四に平素できるだ け頭の中を広く使うように指導することである。
6.あっさり実行型 この型は、一口にいって地道粘り型とは対照的にこだわりなく開けっ放しでさらさらとしているがブレーキに欠けやすいところにその特徴を持っている。
精神健康のとき 1.社会性
誰に対しても開けっ放しでこだわりなく、さらっとしていて淡泊で、人つきあいは広いが、その交わりは深くはならない。またさばさばしている一面、好き嫌 いなどははっきりしており、そしてまた自己中心的に振る舞うところがあるので、ややもすると協調性などが欠けやすい。
2.仕事ぶり
適応も速く、仕事のスピードもあってさっさと片づけていく切れの良さはあるが、割り切り方がはやく、その確かさを徹底的に吟味するとか、とことんまでやり遂げるとかいったような粘り強さには欠けやすい。
3.ものの考え方
現実的、、経験的に割り切って考え想を練るとか、理論的にこれを追求するとかいった面は乏しく、思いついたらすぐ実行する方である。
4.情意の状態
感情はそのままが開けっ放しで、激しく強い。ただし、いつまでもくすぶるようなことがなく、さらっとしていて変わり身がはやい。意志は一気に押し出す力強さはあるが、持久力、耐久力といったものには欠けやすい。
性格上の難点 ブレーキ不足
不健康のとき 不健 康になると、ブレーキ不足が目立ってきて、やっていいこととやってはいけないことの抑制がきかなくなるので、思ったそのことが直ちに行動になって現れてく る。したがって問題行動が起こるわけで、出しゃばり、おっちょこちょい、投げやり、でたらめ、無鉄砲、暴力、チンピラ、やくざなどがその代表的なものであ る。
健康管理 この 型は、ブレーキに故障が起こしやすいところにその不健康のもとがあるから、まずブレーキを強化しなければいけない。健康なときでも、物事の切り上げが早 く、もうこれでよいと思ってしまうので、そこからもう一歩を進めてがんばるようにし向けることである。少しくらい苦しくとも我慢してやるように尻をたたく ことである。おだてもきくので、期待を持たせて嬉しがらせ、弾んでやるような気持ちにさせて尻をたたくことがよい。この型は、長続きがしないことが特徴な のだから、何回でも繰り返し行うことが必要である。
7.内的安定型 この型は、世の中に言う中庸を得た人柄である。さほど目立ちはしないが、何事によらず中道を歩んで偏らないということが特徴である。
精神健康のとき 1.社会性
特に積極的に人交わりをする方ではないが、さりとて引っ込み思案のところなどはなく、誰とでも親しみ協調性がある。人当たりも柔らかにすぎず、硬きに偏らないで程々である。
2.仕事ぶり
適応は取り立ててはやい方ではないが、適度に早く、適度に柔軟性もあって融通が利き、また確実性もあるし、粘り強さもある。さほど表には目立たないが、いつの間にかきちんと成し遂げ、頭をもたげているといった感じである。
3.ものの考え方
自己主張が強すぎる訳でもなく、また安易な妥協などもしないでいつも中道を歩むような確からしさがある。
4.情意の状態
感情は開けっ放しではないが、さりとて自閉的でもなく、素直に感動し共鳴し表現する。意志は特に強い感じは与えないが、粘り強くくじけない。
性格上の難点 積極性、機動性といったものが欠けやすい。
不健康のとき 積極性がなくなってくることからは消極、引っ込み、意気消沈といったような症状が現れ、機動性がなくなることからは動きの硬さ、柔軟性の乏しさなどが現れてくる。
健康管理 この 型は、滅多に不健康にならないということである。この型から問題児が出たという例は少ないし、また、社会的にみても、反社会的行動なども他の型に比べると その数はきわめて少ないように見える。したがってこの型の健康管理は、できるだけ積極的に自分から進んでやるような態度を養うことにつきるであろう。
8.分裂型 この人柄は、クレッチュメルのいう分裂性格であるが、この型も、躁鬱性格が陽気で活発なものから、陰気で憂鬱なものまでも含んでいる。したがって、外から見た限りでは、別型の人柄のように見えてこの識別はなかなか難しい。
この型は、鈍感と鈍麻、能動的と非能動的、作業障害の大小の組み合わせで5つの性格特徴が出てくる。その性格特徴の5つとは、むき熱中型、鈍麻型(無関心型)、自閉型、敏感型、停電型である。
8-1.むき熱中型 この 型は、敏感にして能動的な活動性を持っている場合の性格特徴であるが、一応前に述べたような分裂型一般の特徴は持ちながらも、その上に積極的な意欲や強力 な推進力とを持ち、ひたむきになって熱中しこれをやり遂げるようなとこがある。人嫌いな分裂型の中では一番活気に満ちて生気がある。
8-2.鈍麻型
(無関心型)
この 型は、鈍麻の極の方に近く座っている型でむき熱中型とは正反対の位置になる。したがって、その性格特徴も反対になってくる。何事によらず無感動、無関心と いったところがあるので、人交わりとて例外ではない。進んで人交わりをするようなことはもちろんないが、誘われれば強いて拒否もしない。要するにどちらで もよい。無関心でよそよそしい感じである。ものの考え方も積極的に自分を打ち出すようなところがなく、どちらに転んでも自分に対して関係はないといった考 え方である。
8-3.自閉型 この 型は、精神が健康である不健康であるといっても、それは程度の差だけであって、自閉すること自身が、すでに社会生活には不健康な徴候になって現れてくる。 人とのつきあいには抵抗が強く孤独的になりやすく、仕事ぶりも適応遅くてぐずつき、また粘り強さ、恒常性といったものに不足し、ものの考えにしても、思考 だけがふくれてこれを現実に移す手段を欠く。また情意の状態にしても、感情が内にこもりすぎて欲求不満を起こしやすく、意志にしても迷いやすく躊躇してな かなか実現にいたらない。この型が健康な姿でいられるということは、人との関係の煩わしさを離れ、自分の最も気に入った仕事をしているときということにな ろう。
8-4.敏感型 鈍麻 型が鈍麻の極に偏っていることで生まれてくる人柄であるとすれば、敏感型はそれと対照的に、敏感の極に偏っていることで生まれてくる人柄である。この人柄 は、外界から来る諸々の刺激に対してはきわめて敏感に反応するが、それを一つにまとめて、自分の内に定着させ得ないところに問題があるということができ る。したがって、他の分裂型と共通点は持ちながらも、その上にこの点が問題となり、自分自身を捉え得ないままに情緒的な不安定さが表立ってくる。
8-5.停電型 この 型は、頭の働きが一時停止することから停電にも似ているのでそのように停電型と命名したものである。この停電現象がこの人柄の特徴を規定していることにな る。この停電が誘発する主な特徴は、うかつ、勘違い、ぼんやり、忘れ物などいくつかあるが、その中でも雑念の湧出を誘い、それがために迷いの多い行動に なって現れてくることが主軸になる。いかなる心身活動においても、何かの目的を持ってそれに打ち込んでいる間は雑念というものはおこらないが、一度それが 停止すると、そのことと全く関係のない事柄が次から次へと浮かんでくるものである。
精神健康のとき 1.社会性
人嫌いなところがあって、人との関係に関与することが苦手である。したがって人との協調性にも欠けやすく、自己中心的に独り居の傾向が強い。この様に人 間関係に抵抗があるので、自然、動物学、天文、古典、芸術等人間に直接関係を持たないものに深く興味を持つようになる。また人と交わるような場合でも選択 性が強く、その範囲、好み等が狭く限定されてくる。
2.仕事ぶり
選択性が強く、好きな仕事には手をつけるが好きでもないものには振り向かない傾向が強い。またてをつける場合でも適応遅くすぐには動き出さない。ただ し、ひとたび動き出すと凝ってやり続ける。名人肌の仕事ぶりというか、凝り性というか間口は狭いが奥行きの深いやり口になる。そして、自発的に手をつけた 限りにおいては精密にして正確な仕事をする。
3.ものの考え方
他のどの人柄にもまして理想的であり、理論的、形式的である。したがって、よく言えば理想家肌の理論家、あるいは冷静な合理主義者などともいえるが、ま た一面、その所論が現実や経験を遊離し一途に現状打破的になったり、同調し妥協するよりは自己主張的、独善的な傾向も生まれてきたりする。
4.情意の状態
感情は内にこもって表に現れない。したがって、何を思って何を考えているかを外から判断することは難しい。
性格上の難点 社会性に乏しい。選択性が強く自己中心的。作業障害があって機能がすぐ発動しない。
不健康のとき この型はいくつかの難点を持つので、不健康時の問題行動は実に多い無口、孤独、独りよがり、冷淡、偏屈、強情、ぼんやり、むら仕事等があげられる。
健康管理 1. この性格をどうにか変えてみようなどと考えないことである。人の言うことをよくきいての上で自分の意見も述べると言うほどに寛容な態度にすることや、孤独 でいるものを人の仲間入りをさせるほどの程度は考えてみてもよいし、またそれならば可能でもある。しかし、根こそぎ変わった性格にしてみようとしてもそれ は不可能なことなので、こういうものだということをまず認め、その上でどうするか考えることである。
2.この社会性乏しく、選択的で凝り性理論張って現実を遊離しやすいたちのものを、どこにおいたら一番心地よいか考えてやることである。
3.彼らに何かを説くような場合には決して頭ごなしにがつんとやらないことである。彼らは理論的、形式的な頭ぶりなので、よく理を通して納得させることである。
4.彼らは何しろ喋ることをしないのでその胸のなかを探索しにくいが、書かせると割合よく書くものであるから、お互いに書くことを通して健康管理をすることは有効である。
9.自己顕示型 この型は、気が強くて負けず嫌い、功利的、気分が変わりやすいような傾向を持っているので、不健康になるととかく面倒を起こしやすい。
精神健康のとき 1.社会性
人嫌いではなく、誰とでも交わりはするが、選択性強く好き嫌いがはっきりしている。そしてその好き嫌いは、自分の意に添わない、気が合わない、ためにな らないなど多分に主観的、感情的なものがもとになっている。また気が強く負けず嫌いなので、人の先に立って支配したがる傾向が強く、人中で目立ちたがる。
2.仕事ぶり
感受性鋭く要点を押さえることはうまく、またそつなくまとめ上げる要領のよさにはま優れたものを持っている。ただし、仕事のえり好みはする方で、自分の為にならないことにはてをつけたがらない。
3.ものの考え方
極めて現実的に物事を考えて経験的に処理する面と、またそれを忘れたかのように形式的、理想的に理論を強調する面とが併存している。ただし、その両面のいずれにせよ、客観的であるよりも、自己中心的、主観的な傾向をもつ。
4.情意の状態
感情は鋭く、激しく、強くそのまま表に現れ、しかもその変化が大きい。また気が強いので特定の感情が持続的にくすぶることもある。意志は、選択してやろ うと思うことには強烈でずばずば思い切ってやってのけるところがある。しかしやりたくないことには手を出さない。
性格上の難点 気が強すぎて負けず嫌い、功利的にすぎる、感情の変化が大きすぎる。
不健康のとき 以上の難点がそのまま膨らんでくるので、体裁や、ごまかし、うそつき、見栄っ張り、気取りや、うぬぼれ、お天気や、強情、冷酷、悪ボスなどが現れてくる。
健康管理 この型は、勝ち気、功利的、気 分屋などいくつかの難点を持っているので、健康を害するとなかなか派手な問題点が生じてくる。この健康管理法としては、こういうたちだと認めて、矯正しよ うなどと考えないことである。矯正するよりもその持ちまえをよりよく生かすことを考えることがよい。彼らは人の先に立って目立つことを好むので何かいいこ とで皆からほめられるように取りはからってやるとか、また同じ負けず嫌いでもいいことをして人に負けまいとするような心構えにさせることである。ただし、 ものを説く場合に、大勢の前でその非をならすとか、あからさまに頭ごなしやっつけることはさけるべきである。
10.粘着型 この型は、一口に言うと几帳面きまじめにして正確、緻密なるも柔軟性に不足しやすいところを持っている。
精神健康のとき 1.社会性
人になれるのに手間がかかるので、誰彼となく交わるといったところはなく、その交友範囲は狭い。また人当たりも柔らかさに乏しく取り付きにくい感じである。ただし、ひとたび交わるに至れば、誠実さもあり責任感も厚く、その交わりは深くて長い。
2.仕事ぶり
適応は遅いが、ひとたび取り付けば、几帳面、きまじめ、かつ慎重に事を運び、こつこつと粘り強くやりながら正確、緻密な仕事をすることが特徴である。た だし、多くのことを一度に手がけ、それを臨機応変に処理するといったような、柔軟にして融通の利く働きには欠ける。
3.ものの考え方
極めて堅実な考え方をし、現実に堕することなく、また理想に飛躍することなく、冷静に、時間をゆっくりかけて、筋を通すようにつとめる。したがって、信 念を持って動くという態度になるが、その一面、大局を見通し幅の広い考え方をする点には欠ける。
4.情意の状態
喜怒哀楽の情が内にこもって表情は硬い。意志は、食いついたら離れない亀のような強さがある。
性格上の難点 固執にすぎて融通が利かないこと。爆発が時にあること。
不健康のとき 以上の難点が高じて、頑固、強情、つむじ曲がり、短気、暴行などがおこりやすい。
健康管理 この型の健康管理は、心の中を 平素よく掃除しておくことである。何しろ彼らは、物事の摂取も遅ければ消化するのも遅い。だから、あわてさせたり急がせたりすると消化不良を起こして心の 中に充満し爆発を起こす。その管理さえ十分に行えば几帳面、きまじめなので模範生としてほめられることになる。つぎに、この型は確固たる信念居士であって 人の言うことなどそうやすやすときかない方だから、その視野が狭くなりがちである。だから、常に頭の中を広く使うように心がけさせることが必要である。ま た、彼らは一度に種類の違ったことをたくさんすることができないので一つずつ丁寧に積み重ねていくようにすることがよい。要するに気長に長い目で見てやる ことが必要である。
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