2013 北九州インターハイ記
フェリーで早朝到着し、朝食後、男子会場で練習がありました。今回は競輪場ということで今までにない広さと高さに圧倒されました。福岡の先生からは室内ではかなり風が動いているので難しいですと耳にしていましたが、2時間の練習では色々なところを試すようにストローク練習からフリー、攻守に分かれてパターン練習と、自主的に練習している様子を見ていてもさほど風の影響も無いようでした。しかし、滋賀県の選手が「足がかなり疲れます」と言っていました。よく見るとコンクリートの上にコートマットが敷いてあったため、足への衝撃は普段よりも大きいものなのだと推測されました。
開会式では高校生によるダンスが披露されました。片手で逆立ちジャンプをしたり、ヘッドスピン(?)を披露し、会場から「おぉ~ッ!」という歓声が上がりました。選手達も身近に感じたのでしょう、非常に盛り上がっていました。
大会1日目、学校対抗戦が始まりました。始まる前にはオーダーについて私の考え方と選手の考え方に出来るだけ違和感の無いように話し合いを持ちました。今までは指導者側が全て決めていましたが、納得のいかないまま試合に臨むよりは集中できると考えたためです。その意見交換に私欲があるかないかを感じ取ることが私の役割でしたが、その私欲は私の方が強かったため、あらためて難しさがわかりました。今回はオーダーを変えずに臨むことに決めました。練習時には感じなかった会場内の風が強く感じ、極端に言えば片方は追い風、片方は向かい風というようでした。「難しいな」と思ったので、よくよく観察をして風向を選手に伝えるよう努力しました。エラーから自己否定に陥ってしまうとゲームどころではなくなってしまうためです。初戦から新入生をトップシングルスに起用したためどういうプレーになるか少し不安でしたが、やはり持ち前のいいプレーが出て、こちらも「うまいッ!」と思わず声が出ることもありました。2、3回戦は3-0で勝ち。続く準々決勝は相手がダブルスを入れ替えてきました。予想はされていましたが、競り合いの末、なんとか第2ダブルスが勝ちきり、トップシングルスもファイナルまでもつれましたが3-0で準決勝へ駒を進めました。
大会2日目、次は全国選抜でも対戦した富岡高校(福島県)です。相手のエース2人とトップシングルスにはやや分が悪かったものの、ここまで来たらやるしかありません。相手の第2ダブルスには1年生ペアが出てきてました。トップダブルスは競り合うものの、やはり最後には押し切られて負け。第2ダブルスは大激戦の末、勝ちました。それとほぼ同時にトップシングルスが1ゲーム目を取りました。ポイント的には1-1ですが、トップシングルスが上手い球回しで1ゲームを取ったため一気に勝利ムードが出てきました。「もしかしたら・・・・・ッ!!!」後で聞くと観客席でもそういう風に感じたと話していました。しかし、さすがトップシングルスの相手は元全中チャンピオン、強烈な決め球は少ないもの冷静に球をまわしエラーを誘います。ファイナルへ。ファイナルの最初、こちらの選手にジャッジに関して納得がいかないそぶりが出てきてしまい一気に集中力が下がってしまいました。「絶対に自分が正しい!!」そう考えてしまう習慣が強い人はなかなか切り替えられません。1-2で負け。第2シングルスも選抜で勝った相手でしたが、モチベーションがあまり上がらずに負け。結局、1-3で準決勝敗退、またまた3位に終わりました。
決勝はおなじみとなってしまった埼玉県と福島県の対戦。第3シングルスまでもつれ込む接戦となりました。ファイナルゲーム17-17くらいでした。福島の選手の足に痙攣が。しかし、外傷を伴わないので処置の時間を作ることはできません。審判はプレー開始を促されていましたが、なかなか始めず10分ほどいろいろと時間を作っていました(この辺りは心情も絡むので難しいところですが、国際大会ではおそらくイエローカードでしょう)。足の痙攣は当人だけでなく、相手にも変なプレッシャーを与えてしまいます。ラリーが続くと「自分の球が甘いのではないか」「決めなければ粘られる」という思考からネット際やサイドラインぎりぎりを狙ってしまっていました。その中で、足を引きずり(?)ながらの姿に会場が応援し出し、そんなところでネットイン。福島県にマッチポイント。最後は埼玉県の選手がいい体勢で処理できた球をサイドアウトしてしまい福島県が優勝を決めました。やや、足の回復行為に問題が見られたものの会場からは大きな拍手が起こりました。ドラマティックな結末でした。
大会3日目、個人戦ダブルスです。第2代表ダブルスの相手校は岩手県の選手でした。積極的に前でレシーブして詰めてくる形のいいダブルスでした。ゲームが始まるものの固さが抜けずスマッシュは角度が浅くなってしまっていました。さらに風を上手く利用できず、守り一辺倒で1ゲーム目を落とします。しかし2ゲーム目は追い風で攻撃が強くなり問題なく取ることが出来ました。ファイナルゲームは前半、向かい風でどれだけ気持ちが前向きに出て球を上げずに抑えられるかが勝負所でしたが、1-11と大量にリードされてしまいました。チェンジコート後6-11まで盛り返すものの、やはりエラーは出るもの、その辺りからシーソーゲームとなってしまいました。不安感が出てしまったのは10-15あたりのスマッシュのバックアウト。そこから思い切って攻められなくなりゲームオーバー。団体戦ではいいゲームが出来ただけに、個人戦では初戦敗退という苦い経験を味わいました。第1代表ダブルスは、やはり試合慣れしているのか、序盤から細かいやりとりで得点を重ね、リードを奪った後、完全に優位に立ったところからゲームを始めるような感じがありました。したがって、そこで相手が動揺してしまうとそのまま得点を離したまま終わります。準々決勝では強豪熊本県との対戦。相手は全くひるまない選手達なので大接戦にもつれ込みました。なんとか拾いきり2ゲームともドゥースで勝ちきりベスト4。
大会4日目、個人戦シングルスです。2人とも4回戦で強豪埼玉県との対戦になりました。私は第2代表の常山君のベンチにつきました。向かい風のコートからの開始。相手のラウンド側に強い球回しを上手く入れながらなんとか1ゲームを取りました。しかし、相手の対応力はやはりすごいものがありました。本当に意表をつく考えられたショットの連続で、さすが選抜チャンピオンでした。しかし、2ゲーム目序盤、相手が前の球を取る際、右足を痛めたように見えました。しかし、点数は相手リードのままファイナルへ。序盤、向かい風を利用して相手のラウンド側に球を風にぶつけてリード。右足を痛めていたため相手はやはり前の球が辛いようで思うように得点できません。ファイナルはなんとか逃げ切り勝利しました。しかし、その後、常山君も両足に痙攣を起こしてしまいました。準々決勝の選手集合場所までの館外の路上で立てなくなってしまいました。5分ほど色々と手を尽くしましたが何ともならず、半ば強引に会場内へ。試合が始まるも序盤でまたしても両足の痙攣。こちらをちらちら見るのですが、(「なんとかしてください~」「どうすればいいですか~」と訴える表情・・・)どうすることも出来ず、ただ見守るだけでした。審判長も駆け寄り試合を続けてくださいのコール。「もうおいとくか・・・」とつぶやきながら、コートサイドへ行きました。本人はどう判断するだろうと近寄ると何も言わず、ただ我慢して待っているようでした。・・・しばらくして歩いてみるとなんとか歩けるようになったようで、とりあえずサービス開始へ。何とかラリーになり、強打よりも前後に大きく振ることで相手の強打を防いでいました。上手いことするな~と感心していました・・・。団体戦の決勝でもあったように相手にアクシデントがあると逆にプレッシャーをかけてしまい思うようにいかないことを目にしていました。この試合も19-19くらいから、相手が2本、悪くない体勢からサイドへアウトして1ゲームを先取しました。「ラッキー!!!!」と心の中で叫んでいました。あれだけ足を痛がっていたのに不思議なものです。その流れで2ゲーム目も18くらいまでリード。その辺りでまた、足に違和感を覚えたように見えましたが、素知らぬ振りでなんとか逃げ切り準決勝へ。今やれることに徹した素晴らしい試合の姿勢でした。
その晩、このままでは翌日に疲れが残り過ぎてダメだと判断した外部コーチがトレーナーに診てもらえるよう段取りをしていました。私はそこまで動けなかったので本当に助かりました。トレーナーに診てもらいなんとか最終日へ。
大会5日目、個人戦ダブルス、シングルスの準決勝です。相手は選抜でもあたった福岡県。身体の痛みもありながら速い展開にも思い切って打ち込んでいき勝利。その後、シングルスが待っていました。去年2位、全日本ジュニア優勝の強敵です。全国選抜の団体戦で圧倒されて負けていたのもあり、さらに上から打ちおろされるショットは1テンポ早くコートへ突き刺さるため、なかなか勝つのは難しいと感じていました。しかし、点数を離されず、じわじわとラリーをしていくうちに相手の表情も嫌がっている感じへと変わっていきました。ファイナルへもつれ込むと前後への揺さぶりが少しずつ効いているようで、相手も大きく足を開いてしのいでいました。なんとか勝利!決勝へ。「うそ~ッ!」というのが本音でした。
ダブルスの決勝は選抜と同じく福島県。もはやこの2人は強烈でした。しかし、競り合いながらいい内容のラリーになり、見ていて本当に面白かったです。相手のサービスは全く浮かず、次のリターンもネットに当てるかのごとく沈めてきます。すごいレベルで戦っていました。圧倒されることは少ないのですがサービス周りの細かいところで点数を離され惜しくも敗退。しかし、選抜の時の内容に比べれば胸を張っていいと思いました。ゲーム終了後、その場にふさぎ込んでしまうそぶりがあったので、「顔を上げろ!胸をはれ!」と思わず言ってしまいました。勝負に負けたとしてもそれで人の価値が下がるものではありません。お互いの健闘を讃え合うような終わり方をこれからはしてほしいものだと思いました。
さて、シングルスの決勝。相手も同じだけ試合数をこなしてきているので、もしかしたら・・・という気持ちはありました。お互いに風を利用しながらきついロビング、ドリブンクリアでコート奥を攻めます。しかし、ファイナルゲーム、追い風で相手コート奥のバックアウトが不安なサイドになりましたが、そこからがとても気持ちのよい攻めが出来ていました。上げるのではなく、果敢にスマッシュで攻めに転じていったのです。相手の強いロビングにも屈せずにクロススマッシュを打ち切りました。優勝ッ・・・!信じられない光景に感動しました。
会場を後にする時には、今までやってきたことがまだまだ不十分だとしても方向性は間違っていなかったのかも・・・と思わず涙があふれそうでした。これから色々な試合、合宿等が重なってくると思います。しかし、挑戦する、試してみるということを続けながら日々変化していく自分達に驚いていってほしいと思います。