イメージの大切さ

頭の中でイメージしたことと実際に行ったことは、脳にとって実は差がありません。鮮明にイメージできたプレーは実際にできた時、予知夢を見たように感じることもあるからです。逆にイメージがぼやけている状態では実行できないので、体の状態を細かいところ までチェックしていく作業が必要になります。

「学ぶ」=「真似る」

最初は「具体的にどのようなショットを打ちたいのか」というものは鮮明にイメージできていないと思います。やってみたいショットを試合や練習を通して「真似る」事が大切です。体勢はどうなっているのか、ラケットの動きはどうなっているのか、タイミングはどんな感じかなどをよく観察します。そして真似をしてみて自分のショットとイメージしたショットの違いを冷静に観察し、なぜ違うのかをいろいろと試していくことが大切です。出来なかったということを自己否定せず、いろいろな方向からの試行錯誤が必要です。したがって普段からシャトルを触りながらラケット遊びをして「こう触ればこうなるのか」を感覚的に知っておくことが大切です。

真剣に練習していくともっと上の大会で戦いたい、勝ち上がっていきたいと思うようになるでしょう。そこで今までのプレーを変えていかなければならないと感じる事もでてきます。しかし、プレーを変えるということは一時的にエラーが多くでるためゲーム等に勝てなくなり不安からまたもとに戻そうとなるかもしれません。しかし、それでは越えられない。そこで大切な考え方が「初心」です。能楽者安田氏の著作で説明されていましたが、これは初めた頃のワクワクした気持ちをもつという意味でよく使われています。しかし、ここではその意味ではなくて「初」という字の成り立ちから説明がありました。

「衣へん」に「刀」と書くこの字は衣にハサミを入れていくということ。今までのものをばっさりと切り捨てることで次、新しいものを取り入れる準備をしよう

という意味です。
そのためにはやはり失敗を恐れず、そこから気づいていかなければ捨てるもの(拘り)を見極められません。どんどん試して失敗して「うまくいかない理由」を発見していくことが大切です。

イメージを乱す「欲」

「結果に対する欲」はプレーに大きく影響するため、今「しなければならないこと」と「したくなること」を認識しなければなりません。「欲」が前面に出てしまうとそれを誘われて足下をすくわれたり、自分から崩れたりするきっかけにもなってしまいます。

チャンスになると必ず強打をしてしまう
焦ると強い球出しで返球してしまう
決めたいと思うとラインギリギリを狙ってしまう
圧倒したくてジャンプばかりして打ってしまう
相手を振り回したくなるとクロス球を多く使ってしまう
相手を追い込みたくてクリアやロブが低くなる

以上のような状況に心当たりはないでしょうか。そのあたりを逆に利用されて主導権を握られるともはや逆転するラリーに持ち込めません。

いくら強いスマッシュを持っていたとしても相手がそれをさせてくれないときは我慢強く辛抱し、相手に上げさせる戦術を使わなければなりません。ヘアピンが得意な場合も相手がネット近くにシャトルを運んでくれないかもしれません。そうなればしたくないこともやらなければ相手との駆け引きに負けてしまいます。

バドミントンは自分がやりたいことをして勝てるスポーツではありません。自分がしたいことはできないことが大前提。だから相手にもやりたいプレーをさせない。そのせめぎ合いで相手のエラーから得点を拾うスポーツです。

普段から物事を好き嫌いせずにとにかく「やってみる」という姿勢がとても大切です。

タウフィック・ヒダヤット選手(インドネシア)

柔らかい動きに力強いショット、鮮やかなディセプションは群を抜いている。特にバックハンドはとても特徴的で相手は一瞬の油断も出来ない。フットワーク、バランスともに素晴らしくスタンダードとなるプレーヤーである。

リン・ダン選手(中国)

フォアから打ち込まれるスマッシュは強烈で、そのショットを出すためのつなぎ、駆け引きも巧み。年齢を重ねるとともに精神的にも強くなってきた選手である。

リー・チョンウェイ選手(マレーシア)

タフな身体と強い精神力がある選手。どんな状況でも自分のプレーを出すことに集中できる。動きのリズムがよく常にいい位置でシャトルを触りショットも安定している。

桃田賢斗選手(日本)

2020年世界1位。巧みなネットショット、正確なストロークに加えタフなスタミナで他を圧倒。東京五輪金メダル候補である。

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